日曜の夜、23時過ぎ。
部屋の電気は消したまま、布団の中でスマホの画面だけがぼんやり光っている。検索窓に打ち込んだ言葉は──「仕事辞めたい 疲れた 30代」。
……心当たり、あるんじゃないか?
画面の向こう側にいるあなたが、今どんな顔をしているか、俺にはなんとなく分かる。目の下にうっすらクマができて、肩はガチガチに固まって、胃のあたりがずっと重い。明日の朝、目覚ましが鳴る瞬間のことを考えただけで、胸の奥がぎゅっと締めつけられる感覚。
──なぜ分かるかって? 俺が、まさにそうだったからだ。
32歳のとき、俺は毎晩こうやって布団の中でスマホを握りしめていた。「辞めたい」と「辞められない」の間で、ぐるぐると同じことを考え続けて、気づけば深夜2時。翌朝、死んだ魚みたいな目で満員電車に揺られて出社する。そんな毎日を、半年以上続けていた。
あの頃の俺に言ってやりたい。「お前は別におかしくない。30代で『仕事辞めたい、疲れた』と思うのは、むしろ正常だ」と。
この記事は、かつての俺みたいに疲れ果てている30代のあなたに向けて書いた。転職サイトの広告みたいに「さあ転職しましょう!」なんて無責任なことは言わない。ただ、同じ道を歩いた先輩として、本音で話す。
読み終わる頃には、こうなっているはずだ。
- 自分の「疲れ」の正体が分かる
- 辞めるべきか、続けるべきかの判断基準が手に入る
- 「まず、これをやろう」という具体的な一歩が見える
- 月曜の朝、ほんの少しだけ肩の荷が降りている
長い記事だけど、どうか最後まで付き合ってほしい。あなたの「次の一歩」のヒントが、きっとどこかにあるから。
「仕事辞めたい、疲れた」── 30代でそう思うのは、あなただけじゃない
まず最初に、一番大事なことを言わせてくれ。
「仕事辞めたい」と思っている30代は、あなただけじゃない。むしろ、思っていない人の方が少数派だ。
これは慰めじゃなく、データが証明している事実なんだ。
深夜の検索画面に映る、30代のリアル
厚生労働省が公表している「令和5年雇用動向調査」によると、30代前半(30〜34歳)の離職率は約12.8%、30代後半(35〜39歳)でも約10.4%。つまり、30代の約10人に1人が、毎年実際に会社を辞めている。
そして、実際に辞めた人の裏には、「辞めたいけど辞められない」と悩んでいる人が何倍もいる。

民間の転職サイトの調査では、30代の約8割が「仕事を辞めたいと思ったことがある」と回答しているんだ。8割だよ? むしろ「一度も辞めたいと思ったことがない」って人に、逆にどうやってるのか聞きたいくらいだ。
俺も32歳のとき、通勤のたびに思っていた。朝の満員電車、他人の汗と香水が混じった空気の中で、つり革を握る手に力が入らない。ホームのベンチに座り込んで、一本電車を見送ったこともある。隣に座っていたおじさんが、同じように疲れ切った顔をしていて──ああ、みんな同じなんだな、と思った瞬間、なぜか少しだけ楽になった。
あなたも、一人じゃない。今この瞬間も、同じ検索ワードを打ち込んでいる30代が、日本中にいる。
30代は「人生の交差点」── なぜ今、こんなにしんどいのか
20代の頃は、がむしゃらに走れた。多少理不尽なことがあっても、「まだ若いから」と自分を誤魔化せた。でも30代に入ると、その魔法が解ける。
30代って、人生のあらゆる負荷が同時にのしかかる時期なんだ。
- 仕事の責任は増えるのに、裁量も給料も大して増えない
- 体力は確実に落ちているのに、求められるパフォーマンスは上がる
- ライフイベント(結婚、出産、住宅ローン、親の介護)が次々押し寄せる
- キャリアの焦り── 「このままでいいのか」という問いが、毎晩頭をもたげる
20代の延長線上では、もう走れない。でも新しい道も見えない。そんな交差点の真ん中で立ち尽くしているのが、今のあなたなんだと思う。



俺はこの時期を「人生の渋滞」って呼んでる。前にも後ろにも進めない、クラクション鳴らされてる気分。でも大丈夫、渋滞はいつか必ず動き出す。
なぜ30代はこんなに疲れるのか?── 5つの「見えない重り」
「なんでこんなに疲れるんだろう」──漠然とそう感じているなら、まずはその「正体」をはっきりさせよう。敵の顔が見えれば、対処法も見えてくる。
30代の疲労には、目に見えない「5つの重り」がぶら下がっている。一つひとつは耐えられる重さでも、5つ同時にのしかかったら、そりゃ膝から崩れ落ちるよ。
重り①:責任だけが増えて、裁量は増えない「板挟みの地獄」
30代の疲れの最大の原因は「責任と裁量のアンバランス」だ。
上からは「もうベテランなんだから」と言われ、下からは「先輩、どうすればいいですか?」と頼られる。自分の仕事に加えて、後輩の面倒、チームの数字、クレーム対応。気づけば、自分の仕事は定時後にしかできない。
なのに、重要な意思決定は上が全部持っていく。「お前の意見は分かったけど、上の方針だから」。この一言で、何時間もかけた企画書がゴミ箱行きになる。



俺は当時、会社のデスクに胃薬を常備していた。引き出しを開けるたびにガサガサ音がするの、もはやBGMだったな。
あなたも「自分で決められない」もどかしさを抱えていないだろうか。コントローラーを半分取り上げられた状態でボス戦やらされてるようなもんだ。そりゃ疲れるに決まってる。
重り②:人間関係の摩耗── 笑顔の裏で擦り切れていく心
30代になると、「我慢が上手くなる」。一見いいことに聞こえるけど、これがめちゃくちゃ危険だ。
20代の頃は嫌なことがあれば顔に出たし、飲み会で愚痴も言えた。でも30代は立場上それができなくなる。部下の前では頼れる先輩を演じ、上司の前では従順な部下を演じ、取引先の前では笑顔の営業マンを演じる。
仮面を何枚も被っているうちに、素顔の自分がどこにいるのか分からなくなるんだ。
特にしんどいのが「合わない上司」との関係。毎日顔を合わせる相手と相性が悪いと、それだけでHPがゴリゴリ削られる。パワハラとまではいかなくても、じわじわ精神を蝕む「モラハラ」に気づかないまま耐え続けている人は本当に多い。
重り③:「このまま40歳になるのか」── キャリアの焦りと停滞感
30代の半ばに差しかかると、ふとこんな考えが頭をよぎる。
「あれ、俺、このまま40歳になるのか……?」
20代の頃は「まだ先がある」と思えた。でも30代は違う。キャリアの折り返し地点が見えてきて、「今の仕事が本当にやりたいことなのか」という問いが、ズシンと重くのしかかる。
毎日同じ電車に乗って、同じオフィスに行って、同じような仕事をして、同じ時間に帰る。それ自体は悪いことじゃない。でも「成長している実感」がゼロだと、人間は想像以上に消耗する。



筋トレと同じで、負荷がないと筋肉は衰える。でも「負荷」と「苦痛」は違う。今あなたが感じているのは成長のための負荷なのか、それともただの苦痛なのか。ここを見極めるのが大事だ。
重り④:給料・待遇への静かな絶望
「責任は増えたのに、手取りは新卒の頃とほとんど変わらない」──こんな状態でモチベーション保てるわけがない。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、30代前半の平均年収は約431万円、30代後半で約467万円。この数字を見て「え、もっと低いんだけど……」と思った人もいるだろう。平均はあくまで平均で、中央値はさらに低い。
SNSを開けば同世代のキラキラした投稿が流れてくる。高級レストラン、海外旅行、タワマン。あんなの一部の人間だって頭では分かってる。でも深夜の疲れた脳みそは、そんな冷静な判断ができない。比較して、落ち込んで、また布団の中でスマホを握る。
重り⑤:ライフステージの変化── 仕事以外の「荷物」も一気に増える
30代は、仕事以外の「人生の荷物」も一気に増える時期だ。
結婚している人は、パートナーとの関係、子育て、住宅ローン。独身の人は「いつ結婚するの?」「将来どうするの?」という周囲からのプレッシャー。どっちに転んでも重い。
特にきついのは、「自分のために辞める」が許されないと感じてしまうことだ。家族がいれば「収入が途絶えたらどうする」、親が高齢なら「安定した仕事を辞めるなんて」。
でもな、ちょっと考えてみてほしい。毎日死んだ顔で家に帰ってくる父親(母親)を見て、家族は幸せだろうか? あなたが元気でいることが、家族にとっても一番大事なことなんだ。
「仕事辞めたいなんて甘えだ」── その声、もう無視していい
ここまで読んで、心のどこかでこう思っていないか?
「でも、辞めたいなんて甘えなんじゃないか」「もっと辛い人はいっぱいいるし」「自分が弱いだけなんじゃないか」。
断言する。それは甘えじゃない。
「甘え」の正体── それは社会が刷り込んだ呪いだ
「石の上にも三年」「辛抱が大事」「逃げちゃダメだ」──俺たちは子供の頃からこう言われて育ってきた。学校でも、部活でも、職場でも。
でもこれ、冷静に考えてみてほしい。「我慢すること」と「壊れるまで耐えること」は、まったくの別物だ。
欧米では、自分に合わない仕事を辞めるのはごく普通の選択だ。アメリカの平均勤続年数は約4年。「合わなかったから辞めた」は、ネガティブどころかキャリアに対して真剣な証拠として評価される。



「甘え」って言葉、便利すぎるんだよな。他人の痛みが分からない人が、相手を黙らせるために使う魔法の呪文みたいなもんだ。そんな呪いに縛られる必要はない。
辞めたいと思う「感情」と、実際に辞める「行動」は別物
大事なのは、「辞めたい」という感情そのものは、何も悪くないということだ。
お腹が空いたら「何か食べたい」と思うだろう? 暑ければ「涼しいところに行きたい」と思うだろう? それと同じで、「辞めたい」は、あなたの心と体が発している正常なシグナルなんだ。
問題は、このシグナルを無視し続けること。火災報知器が鳴っているのに「うるさいな」と耳を塞いでいたら、いつか本当に焼け落ちる。
「辞めたい」と感じた自分を責めるのではなく、その感情を「情報」として受け止めよう。何がそう感じさせているのか。それは自分で変えられることなのか、変えられないことなのか。冷静に分析するのは、その後でいい。
あなたの「疲れた」は、どのレベル?── バーンアウト限界チェック
「辞めたい」にも、グラデーションがある。月曜が憂鬱なレベルと、体が動かないレベルでは、対処法がまるで違う。
まず、自分が今どの位置にいるのか、客観的に確認しよう。
「一時的な疲れ」と「バーンアウト」の決定的な違い
バーンアウト(燃え尽き症候群)とは、慢性的なストレスにより心身のエネルギーが枯渇した状態のこと。世界保健機関(WHO)も正式に「職業関連の現象」として認定している。
重要なのは、「一時的な疲れ」と「バーンアウト」は似ているようで全く違うということ。
| 一時的な疲れ | バーンアウト | |
| 回復 | 休めば回復する | 休んでも回復しない |
| 原因 | 特定の出来事がトリガー | 慢性的・構造的 |
| 感情 | 疲れているが希望はある | 無気力・絶望感 |
| 人格 | 自分らしさを保てる | 冷笑的・攻撃的になる |
【セルフチェック】10個の「限界サイン」── 3つ以上で要注意
以下の項目、正直に数えてみてほしい。
- ❶ 朝起きた瞬間「今日も仕事か…」と絶望する
- ❷ 日曜の夕方から体調が悪くなる(サザエさん症候群の重症版)
- ❸ 好きだった趣味に興味がなくなった
- ❹ 人に会いたくない、一人でいたい
- ❺ 寝ても疲れが取れない、または眠れない
- ❻ 食欲がない、または暴飲暴食してしまう
- ❼ 些細なことでイライラする、急に涙が出る
- ❽ 仕事のミスが増えた、集中できない
- ❾ 「自分なんていなくてもいい」と感じることがある
- ❿ 頭痛・胃痛・動悸など、体に不調が出ている
0〜2個:一時的な疲労。休息とリフレッシュで回復できる可能性が高い。
3〜5個:要注意ゾーン。バーンアウトの入口にいるかもしれない。環境の見直しを検討しよう。
6個以上:危険信号。心療内科やカウンセリングへの相談を強くおすすめする。一人で抱え込まないでほしい。
体が発する「SOS」を無視するとどうなるか
「まだ大丈夫」「もう少し頑張れる」── この言葉が一番危ない。
俺の同僚に、まさにこのパターンで倒れたやつがいた。34歳、営業課長。誰よりも早く出社して、誰よりも遅く帰っていた。周囲が「大丈夫?」と聞いても、いつも笑顔で「全然平気っすよ」と返していた。
ある朝、彼は出社してこなかった。電話にも出ない。後で聞いたら、朝ベッドから起き上がれなくなったらしい。体が動かない。涙が止まらない。──適応障害の診断だった。休職3ヶ月。
彼は復帰後、こう言った。「もっと早く、あの”大丈夫じゃない”に気づくべきだった」。
「まだ大丈夫」と思っているうちが、実は一番危ない。体のSOSを無視し続けると、回復に何倍もの時間がかかることになる。
「辞める」だけが答えじゃない── 30代の4つの選択肢
ここまで読んで、「やっぱり辞めた方がいいのかな」と思ったかもしれない。でもちょっと待ってほしい。
「辞める」か「辞めないか」の二択で考えると、どっちを選んでも苦しくなる。実は、選択肢はもっとある。
選択肢A:「環境を変える」── 転職しなくても変えられること
意外と見落としがちだけど、今の会社にいたまま環境を変える方法は結構ある。
- 部署異動を申し出る── 人事部や上司に相談。「辞めたい」と言う前に「異動したい」と言ってみる
- 働き方を変える── リモートワーク、フレックス、時短勤務の可能性を探る
- 業務量を交渉する── 「全部引き受ける」をやめて、優先順位を上司と共有する
- ジョブ・クラフティング── 今の仕事の中で「やりがいを感じる部分」を意識的に増やす工夫



「そんなの無理だよ」と思うかもしれない。でも、試してもいないのに「無理」と決めつけるのはもったいない。ダメ元でも言ってみると、案外「じゃあ検討してみるよ」と返ってくることもある。
選択肢B:「休む」── 休職という”戦略的撤退”
「辞める」の前に、「休む」という選択肢がある。これを知らない人が意外と多い。
心身の不調で働けない場合、健康保険の傷病手当金を利用すれば、給与の約3分の2が最長1年6ヶ月支給される。つまり、収入ゼロにはならない。
・健康保険に加入していれば利用可能(国保は対象外)
・支給額は標準報酬日額の3分の2
・最長1年6ヶ月
・医師の診断書が必要
・詳しくは全国健康保険協会(協会けんぽ)を確認
「休む=逃げ」じゃない。「回復のための投資」だ。スマホだって充電しなきゃ動かないだろう? 人間も同じだ。
選択肢C:「辞める」── 退職を決意したときの具体的手順
いろいろ考えた上で「やっぱり辞める」と決めたなら、それは立派な決断だ。ただし、勢いで辞めるのだけは避けてほしい。準備次第で、退職後の生活は天と地ほど変わる。
転職活動は平均3ヶ月かかる。その間の生活費を計算して、最低限の蓄えを作っておこう。
経済的にも精神的にも、次が決まってから辞めるのがベスト。転職サイト・エージェントへの登録は在職中でもできる。
法律上は2週間前の申告でOK。ただし円満退社を目指すなら1〜2ヶ月前が理想。どうしても言い出せない場合は「退職代行サービス」という選択肢もある。
有給休暇は労働者の権利。遠慮せず使い切ろう。退職後はハローワークで失業保険(雇用保険の基本手当)の手続きを忘れずに。
選択肢D:「準備する」── 在職中にできる”逃げ道づくり”
「今すぐ辞めるのは無理。でも何かしたい」── そんなあなたに一番おすすめなのがこれだ。
「いつでも辞められる状態」を作ることが、実は最強の精神安定剤になる。
転職サイトに登録するだけでいい。求人を眺めるだけでいい。「ああ、自分にも選択肢があるんだ」と実感できるだけで、月曜の朝が少しだけマシになる。これ、本当だから。



俺は32歳のとき、まず転職サイトに登録「だけ」した。別に応募するつもりはなかった。でも「他にも道はあるんだ」って分かっただけで、翌朝の通勤電車がほんの少しだけ楽になったんだ。
30代の転職、ぶっちゃけどうなの?── データと経験で語るリアル
「転職したいけど、30代で本当に大丈夫なのか?」── これ、めちゃくちゃ聞かれる。結論から言う。
30代の転職は、全然できる。むしろ、20代よりも「武器」が多い。
数字で見る30代転職のリアル
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査」のデータを見てみよう。
| 年齢層 | 転職入職率(男性) | 転職入職率(女性) |
| 30〜34歳 | 約9.1% | 約12.2% |
| 35〜39歳 | 約7.4% | 約9.8% |
毎年、30代の約1割が転職を実現している。決して珍しいことじゃない。
「35歳限界説」なんて言葉を聞いたことがあるかもしれないけど、今の転職市場でそんなものは崩壊している。人手不足が深刻な今、30代の即戦力を求めている企業は山ほどある。
30代転職で「武器」になるもの
- 実務経験── 20代にはない「現場で積み上げた経験値」
- マネジメント経験── 後輩指導、チーム管理の経験は高く評価される
- 業界知識── 同業種への転職なら即戦力として重宝される
- 人脈── 意外と武器になる。業界のつながりが道を開くこともある



「自分にはスキルがない」って思ってる人、めちゃくちゃ多いけど、それ思い込みの可能性が高い。10年近く働いてきて何のスキルもない人なんて、まずいないから。自分では「当たり前」にやってることが、他社では高く評価されるなんてことはザラにある。
転職活動の始め方──「まず何をすればいい?」
これまでの経験、得意なこと、「絶対に嫌なこと」をノートに書き出す。転職の軸を明確にする最も大事なステップだ。
30代なら「リクルートエージェント」「doda」「マイナビエージェント」あたりが王道。複数登録して比較するのがコツ。
最初から理想の求人を見つけようとしなくていい。まずは「気になる」ボタンを押すだけでOK。動き出せば視野が広がる。
今日からできる「小さな一歩」── 5つのファーストアクション
ここまで読んで「いろいろ分かったけど、結局何から始めればいいの?」と思っているかもしれない。
大きなことをする必要はない。今日できる「小さな一歩」を5つ紹介する。どれか一つでいいから、やってみてくれ。
アクション① 今の気持ちをノートに書き出す
心理学では「エクスプレッシブ・ライティング」と呼ばれる方法で、感情を書き出すだけでストレスが軽減されることが研究で証明されている。
「何が嫌なのか」「どうなりたいのか」「本当はどうしたいのか」── 体裁なんて気にしなくていい。スマホのメモ帳でもいい。汚い言葉でもいい。とにかく頭の中のモヤモヤを外に出してみてくれ。
アクション② 転職サイトに「登録だけ」してみる
繰り返しになるけど、登録=転職じゃない。「世の中にどんな求人があるのか」を知るだけで、視野は劇的に広がる。
「他にも居場所がある」と知ること。それだけで心の余裕が生まれる。これは俺自身が経験した、紛れもない事実だ。
アクション③ 信頼できる一人に、本音を話す
一人で抱え込むのが、一番危ない。
友達でも、家族でも、元同僚でもいい。「実は最近、仕事がしんどくてさ」── たったこの一言を誰かに言えるだけで、肩の荷が驚くほど軽くなる。言葉にすることで、自分の気持ちが整理されるんだ。
アクション④ 有給を取って「何もしない日」を作る
「休むのが怖い」「迷惑をかける」── その気持ちは分かる。でもな、あなたが倒れたら、もっと迷惑がかかる。
一日でいい。何の予定も入れない日を作ってくれ。映画を観るでもいい、散歩するでもいい、一日中寝ていてもいい。「何もしない」を意識的にやることが、回復の第一歩になる。
アクション⑤ 心療内科のハードルを下げる
「心療内科に行く=重症」と思っていないか? 全然違う。
心療内科は「心の内科」みたいなもんだ。風邪をひいたら内科に行くだろう? 心が風邪をひいたら心療内科に行く。それだけの話。



最近はオンラインカウンセリングも充実している。cotreeやUnlaceなら、自宅からスマホでカウンセラーと話せる。「ちょっと話を聞いてもらう」くらいの気持ちで使ってみるのもアリだ。
一人で抱え込まないで── 今すぐ頼れる相談先リスト
最後に、本当に辛いときに頼れる場所を載せておく。ブックマークしておいてほしい。今は使わなくても、いつか必要になるかもしれない。
公的な相談窓口
| 窓口名 | 電話番号 | 対応 |
| こころの健康相談統一ダイヤル | 0570-064-556 | メンタルヘルス全般 |
| よりそいホットライン | 0120-279-338 | 24時間無料・どんな悩みでもOK |
| 労働条件相談ほっとライン | 0120-811-610 | 労働問題(残業・パワハラ等) |
| 総合労働相談コーナー | 各都道府県の労働局 | 職場トラブル全般 |
民間のキャリア・メンタル相談
- ポジウィルキャリア ── キャリアのプロに人生設計を相談できる
- マジキャリ ── 自己分析から転職支援まで一気通貫
- cotree(コトリー) ── オンラインカウンセリング。自宅から相談可能
- Unlace(アンレース) ── チャット形式のカウンセリングで手軽に利用可能
「相談するほどじゃない」なんて思わなくていい。辛いときに助けを求められるのは、弱さじゃなく強さだ。
まとめ── あの日曜の夜から、少しだけ未来が変わる
ここまで読んでくれて、本当にありがとう。
最初に書いた、あの「日曜の夜、布団の中でスマホを握りしめている30代」の話。あれは俺自身の話だ。
あの頃の俺は、暗い部屋の中で同じことをぐるぐる考え続けて、何も変わらない毎日を繰り返していた。「辞めたい」と「辞められない」の間で、ただ時間だけが過ぎていた。
でも、ある日ふと、たった一つだけ行動を変えてみた。転職サイトに登録した。それだけ。求人を眺めた。それだけ。
でも、その「それだけ」で、翌朝の景色が少しだけ変わった。「他にも道がある」── その事実を知っただけで、胸の圧迫感がほんの少し和らいだんだ。
最後に、この記事の要点をまとめておく。
- 30代で「仕事辞めたい、疲れた」と思うのは普通のこと。あなただけじゃない
- 疲れの原因は「5つの見えない重り」。正体を知ることが第一歩
- 「辞めたい=甘え」は嘘。その感情は正常なシグナルだ
- バーンアウトのサインが出ていたら、早めの対処を
- 選択肢は「辞める」だけじゃない。環境を変える、休む、準備する道もある
- 30代の転職は全然できる。「35歳限界説」はもう古い
- まずは今日、「小さな一歩」を一つだけ踏み出してみてほしい
辞めてもいい。辞めなくてもいい。休んでもいい。
でも、「何もしない」だけは、選ばないでほしい。
月曜の朝、少しだけ背筋を伸ばして家を出てみてくれ。それだけでいい。昨日と違う自分は、そのほんの小さな一歩から始まる。
この記事が、あなたにとっての「隣にいる先輩」になれていたら──俺は、それだけで嬉しい。
よくある質問(Q&A)
- 30代で仕事を辞めるのは「逃げ」ですか?
-
逃げじゃない。自分の心と体を守るための「戦略的撤退」だ。毎年30代の約10人に1人が転職している。逃げるのではなく、より良い環境を選び取る行動だと考えてほしい。
- 辞めたいけど、家族がいるので踏み出せません
-
気持ちは痛いほど分かる。でも考えてほしい。毎日疲れ果てて帰ってくるあなたを見て、家族はどう思っているだろうか? あなたが健康で笑顔でいることが、家族にとって一番大事なことだ。いきなり辞めなくてもいい。まずは在職中に転職活動を始めたり、休職制度を調べたりすることから始めよう。
- 30代後半でも転職は間に合いますか?
-
間に合う。厚労省のデータでも、35〜39歳の転職入職率は男性約7.4%、女性約9.8%。「35歳限界説」はすでに崩壊している。人手不足の今、30代後半の経験者を求めている企業は多い。大切なのは、自分のスキルと経験をしっかり棚卸しして、それを活かせる場所を見つけることだ。
- 特にスキルがなくても転職できますか?
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「スキルがない」は、ほとんどの場合思い込みだ。10年近く働いてきたなら、必ず何かしらのスキルは身についている。自分では「当たり前」にやっていることが、他の会社では高く評価されることはザラにある。転職エージェントに相談すれば、自分では気づかなかった強みを客観的に教えてもらえる。
- 心療内科に行くのが怖いです
-
その気持ちは自然なことだ。でも、心療内科は「心の内科」みたいなもの。風邪をひいたら内科に行くように、心がしんどいときに行く場所。初診は問診票の記入と先生との対話が中心で、いきなり薬を出されるわけじゃない。対面が怖ければ、cotreeやUnlaceなどのオンラインカウンセリングから始めるのもおすすめだ。