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第一線で活躍されるクリエイターを迎えてのトークセッション。互いの感性を刺激し合い、新たな発想やモチベーションの源泉を与えてくれます。

2011/04/13

独立系デベロッパー代表対談:塚本昌信×原田雅子


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 CEDEC2010のパネルディスカッションがきっかけとなり、業務提携を結んだ独立系デベロッパー4社。
 Jam Session第2弾は、ランド・ホー! 代表取締役の塚本昌信氏をお招きして、11年4月から合同実施する新卒研修や今後の展望などをイニスの原田と語っていただきました。

塚本 昌信氏 株式会社ランド・ホー! 代表取締役
原田 雅子 株式会社イニス 代表取締役


合同研修のメリット


原田
「まず、これまでの経緯から...。ゲーム業界って、仕事内容が機密に触れることなどから、業界内外どちらに対してもかなりクローズドな環境にあったと思います。CEDECでは技術公開という側面ではオープンに話されるようになってますが、企業間の協調やマネジメント・ノウハウという側面では、まだまだ手探りで。どこまでお互い突っ込んでいいか遠慮もありますよね。そんな折にCEDECでみなさんと一緒になって、これはいろいろ共有していくべきなんじゃないかな、と」

塚本
「ええ。ちょうど規模が同じくらいで、使っている技術も似ているというところで意気投合したんですよね」

原田
「形にとらわれず、まず業務提携を結んで走り出してみようと。『まずこういうことから始めてみましょう』と私の方から提案したのが、4月から始まる新卒研修です」

塚本
「今回の取り組みは、新卒育成の最初の1ヵ月を合同でやりましょうということですよね」

原田
「最初の1ヵ月は、ビジネスマナー、Officeやグラフィックツールの基礎習得、プログラム周りの基礎知識など、最低限のスキルを習得する期間であって、会社の独自性は少ない。1社で採用する新卒者は数名ですが、数社合同で行えば、これまで社員が仕事の合間を裂いて行っていたことも、カリキュラムを組んで分野毎のプロフェッショナルの講師陣を外部から招くことができる、非常に充実した研修内容を実施することができます」

塚本
「人を預かる以上、ゲーム開発はもちろん、社会人としての基礎を身につけさせるのは当然ですからね。それ以外にも、1社では少ない新卒でも、今年は4社合わせて全部で12人ですか。となると、これはもう仲間ですよね。社会に出て一歩目に仲間が12人もいるって心強いんじゃないかと思うんですよね。そういう関係を築けるところに、僕はすごく期待しています」

原田
「こういう試みってないですよね」

塚本
「ないと思いますね。業界でも聞いたことないです。おそらくゲーム業界では初めての試みなのではないでしょうか」


環境が人を育てる!


塚本
「仕事のパワーって遊ぶパワーなんだなと思うんですよ。若い子を見てても遊んでる奴ほどいい仕事してくれています」

原田
「確かに。でも最近の子は、勉強してる子もしてない子も、総じて遊んでない気がします」

塚本
「遊びの質が変わってきましたね。外で遊んでないですよ。僕たちの学生時代は仲間で川とか海とか行ったりとかスキー行ったりとか、そういう遊びだったじゃないですか。でも今はひとりでゲームやってるのが遊びだったりするんですよね」

原田
「もしくは仲間内で凝り固まってしまって、価値観を共有する人が非常に少ない中で生活しているとか」

塚本
「なので、あえて環境を変えてあげてますね。上司が外に連れ出してあげるとか、遊びを教えてあげるとか。きっかけを作ってあげることは年上の人間の大事な仕事だと思うんです」

原田
「でも、アルコール飲めない人も多いでしょ」

塚本
「ウチは飲む人間しか採っていないんで、ムチャクチャ飲みますね(笑)」

原田
「ゲーム開発って、ある種サービス業じゃないですか。どれだけ人に気を遣えるかっていうのは、やっぱり大事だと思うんです。気の回らない子は、自らも腰が重いし動けない......。周りがお膳立てをしてあげないと乗ってこないお客さんタイプも案外多いんですよ。私は自主性を重んじたいのであまり言わないようにしているんですが」

塚本
「僕は根が体育会系なんですよ。だから言う方ですね。言ってやらなきゃダメだと基本的に思ってるんで。面倒見たり怒ったり、そういうリーダーがいると、その人を慕ったり目指したりして、伸びる要素となりますしね。リーダーの方も、自分がしっかりしないと下がついてこないだろうという自覚を持つんです」

原田
「確かに不思議なもので、ポジションを与えると急に『おにいさん』になる人っていますね」

塚本
「『まかす』ことが大切だと思います。細かい指示とか言わずに『まかす』と、それなりにちゃんと考えてやってくれるんですよね。そういうやり方すると、まかせた人間が下に対してまた『まかす』んです。ランド・ホー!も立ち上げ当初、僕が細かく仕切っていたんですけど、元々のメンバーがそれぞれ意識高かったので、彼らの管轄は、もうまかせようと。で、まかせた以上は何も言わない。その方針で今はうまく回っています」


オーラをまとった人に集まってほしい


原田
「ところで、ゲーム業界の将来はどんな風に変わっていくと思いますか?」

塚本
「そうですね。最近は、いろんな端末だとか電子機器が普及して、いままで仕事していなかった業界の人ともお仕事をご一緒する機会が増えてきました。文化の違いとか戸惑うことも多いんですけど、一緒に仕事しているうちに、やがてお互い共通の言語を持ち始めて、ひとつの文化を形成し始めるんですよね。そういう形態がいろんな業界に波及していくのではないでしょうか」

原田
「業界間がボーダーレス化していくっていうのは、もうすでに一部では見られますね。。今までは、例えば広告業界、IT、ゲーム業界って5人並べれば、服装と雰囲気で誰がどういう業種かはだいたいわかってたじゃないですか。ゲーム業界だけTシャツとジーンズで」

塚本
「(笑)確かに」

原田
「そういうのが、だんだん薄くなってくるとは思います。でも、それではちょっと寂しいな~! エンターテインメントがどんどんデジタル化していく中でも、ゲームってまだまだ先端を行き続けると思うし、そうであってほしい。で、そういうものに携わっている人には、やはりトンガっていてほしいんですよね」

塚本
「5人並べた時に、やっぱりちょっとインパクトあるな、ってね」

原田
「そう! 従来どおりTシャツとジーンズでもいいんですけど、それでも何かカッコイイと思えるようなオーラを持っていてほしいですね。そういう人が集まるから、面白いものが化学反応的に生まれるんじゃないですか。私は、どうすれば人が豊かになるのか、それを牽引するのがゲーム業界に携わる者の使命だと思ってるんです。会社として利潤を上げることは必須なんですけど、時にそれと相反することになってもフラッグシップ的なことをやろうという気持ちが、ゲーム業界にはあるべきなんです」

塚本
「僕はゲーム業界には明るい未来しかないと信じています。これだけいろんな所でいろんなものを作れる時代なので 提供できる場所が増えている。自分たちがいいものを信じて作れば、絶対それが受け入れられる場所があるんです」


業務提携の可能性


原田
「では、最後に我々の業務提携に関してはどうお考えですか?」

塚本
「極力垣根を取っ払いたい! 人材、ノウハウ、営業活動、強み弱み、すべて取っ払ってお互いに行き来できればいいなと。こころざしが近い会社が多い、だからこそ提携したんです。1+1+1+1が4ではなくて、10ぐらいに化ける可能性が充分にある」

原田
「確かにそれは理想的なんですけど、クライアントの絡みでオープンにできないところもどうしてもありますよね?」

塚本
「クライアントにもぶちまけるってのはどうですか? 我々4社、提携しましたって」

原田
「そうすると、『合併すれば?』って話にならないですか?」

塚本
「クライアント的には、1社よりも4社がそれぞれ強みを活かしている方が安心できるのではないでしょうか。それぞれが独自で発展させている努力はやめるべきじゃない。合併してしまうとひとつの道になってしまうじゃないですか」

原田
「なるほど、それぞれの個性を活かしつつ、でも対クライアント的にはいろんなリソースとソリューションがあり強みがある1社として見てください、と。」

塚本
「新規で共同プロジェクトを立ち上げる、まずはハードルの低いソーシャルアプリとかスマートフォンでもいい、とにかく何かやってみたいですね。」

原田
「合同研修で育った新卒たちが、また集まって一本のタイトルを仕上げるという時期も、そんなに遠くないかもしれませんね。」

塚本
「いいですね、一本作りあげるって、すごく大事な経験になりますからね」

原田
「人と人が行き交うことで、良い化学反応がおきることを期待しています。まずお互いの強みを現場レベルまで浸透できるような機会を多く持ちたいですね」

塚本
「そうですね、良き仲間として、良きライバルとして!」

原田
「今日はどうもありがとうございました!」